【Film Review】「ボーダーライン」/圧倒的リアリズムで描き出された傑作麻薬映画

Sicario

「ボーダーライン」 (原題:「Sicario」) (2015年・米)

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演:エミリー・ブラント/ベニチオ・デル・トロ/ジョシュ・ブローリン/ジョン・バーンサル/ヴィクター・ガーバー/ジェフリー・ドノヴァン 他



鬼才ドゥニ・ヴィルヌーブが映し出す、感情を持った映像世界

第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
監督は「プリズナーズ」で全世界に衝撃を与え、「メッセージ」で今年度アカデミー監督賞にもノミネートされている、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。

FBI捜査官ケイトと彼女のチームがアリゾナで奇襲作戦を敢行。
しかし、裏庭に仕掛けられた爆弾により、多くの仲間の命が失われてしまう。
この事件の裏には麻薬カルテルの親玉マヌエル・ディアスの存在が隠されており、国務省の要望から、彼女はとある作戦に参加することに・・・。

麻薬戦争を題材にした作品は数多くあれど、その中でも本作は特出した傑作と言える。
メキシコという国が抱える闇、さらには麻薬捜査の裏側で暗躍する事実などを浮き彫りにしており、社会性に富んだ作品。

Sicario

原題の''Sicario''は''殺し屋''という意味を持つが、邦題である「ボーダーライン」も作品を表した秀逸なタイトルと言える。
本作が舞台としているのはメキシコの国境線が主だが、それだけでなく、秩序と無秩序、善と悪との境界線というものも含まれたタイトルなのだ。
要するに本作が終始一貫して描いているのは、法を遵守する者たちのボーダーライン、つまり麻薬カルテルを潰すために何処までを境界線とするかということである。
また監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴの画角の隅々まで最大限利用した映像がとても秀逸で、映像自体が感情を持っているよう。

Sicario

綿密に練られた脚本が活きている要因は、恐らくこの映像にあり。
気分の悪くなる描写も多いが、それもリアルさを醸し出すが故。
圧倒的リアリズムと壮麗な映像で魅せる、一級品の麻薬映画であった。

実力派俳優の上質な演技合戦

どれほど素晴らしい脚本と映像でも、キャストの演技が素晴らしくなくては作品は成り立たない。
そんな心配をよそに本作のキャストは実力派揃いで、一級品の演技合戦が繰り広げられる。
主演は、エミリー・ブラント

Emily Blunt

コメディからミュージカルまで幅広くこなしてきた彼女だが、本作はこれまでにはないほどにシリアスな役柄。
終始、笑顔を見せることはなく、衰弱しきった表情を魅せ、役になりきっている。
本作の要は彼女にあり、彼女の視点で物語を追求していくことになる。
彼女と同じ立場に立つと、こちらまでもが衰弱しきってしまうほどに感情移入の対象にある。

脇を固めるキャストの演技も素晴らしく、ベニチオ・デル・トロの貫禄の立ち姿に・・・

Benicio Del Toro

ジョシュ・ブローリンの信用ならの出で立ちが重なり合い、なんとも言えない雰囲気を醸し出す。

Josh Brolin

この2人の名優が徐々に存在感を発揮するようになる様は、観ていて小気味よく感じる次第だ。

他にもヴィクター・ガーバージョン・バーンサルジェフリー・ドノヴァンなどが出番薄ながらに印象に残る演技を魅せてくれた。

全てが秀逸に絡み合った一級品の麻薬映画。
続編もあるようだし、今後、本作の監督であるドゥニ・ヴィルヌーヴのネームバリューも上がっていくと思われるので、今のうちからしっかりと頭に入れておきたい作品だ。

評価:★★★★★★★☆☆☆


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