【Film Review】「アメリカン・レポーター」/女性レポーターの視点から描いた戦争映画

Whiskey Tango Foxtrot

「アメリカン・レポーター」 (原題:「Whiskey Tango Foxtrot」) (2016年・米)

監督:グレン・フィカラ&ジョンレクア

出演:ティナ・フェイ/マーゴット・ロビー/マーティン・フリーマン/アルフレッド・モリーナ/ビリー・ボブ・ソーントン/ニコラス・ブラウン 他



実話を基にした''戦争コメディ''

ジャーナリストのキム・パーカーが自身の体験を綴ったエッセイを映画化。

アメリカ人レポーターのキムは、人生を前進させるために、デスクワークから現場レポーターへと転身を図る。
最初は戸惑いを見せるものの、徐々にレポーターとして、命がけで取材に走るようになり・・・。

原題の「Whiskey Tango Foxtrot」というのは、''What The F×××''の頭文字をとった隠語で、主に軍で用いられる。
まさにこのタイトルが表す通り、''クソッタレ!''と言いたくなるような世界が紛争地帯アフガニスタンには広がっているのだ。

Whiskey Tango Foxtrot

本作にはそのような実体験を基にした原作があり、コメディという触れ込みで製作された映画だが、決してコメディと言えるような内容ではないように思う。
実際問題、何を言いたいのか、わからない作品ではあるものの、レポーターという職業の熱意や''現場''というものがどれほどまでに人を変えるかということが存分に伝わってくる。
ただ人を変えるといっても人間性を変えるとか、そのようなものではなく、性格的なもので、おとなしめのデスクワーク女子が取材に命をかける熱血レポーターへと変貌していく様が描かれる。

Whiskey Tango Foxtrot

もっと報道により、傷ついた人間たちを掘り起こして描けば良かったものの、そこにはあまり注視せず、紛争地域をコメディ的かつロマンスとして描いているところに違和感を覚えた。
原作があまりシリアスでなく、そこまでシリアスな作品にしたくなかったのかもしれないが、これではあまりにも現地のレポーターたちの常に死と隣り合わせの状況というものが伝わってこない。
あくまでも本作は一人の女性レポーターの体験記を基にしているので、彼女自身が提議した''クソッタレ!''と言いたくなるようなことが中心となっている。
なので、戦場や報道のリアルというものよりも、女性レポーターたちの気持ちを体現したという部分が大きいのだ。
ならば逆にもっと風刺的にやり過ぎたほうが良かったようにも感じ、ありとあらゆる点で何とも中途半端な印象を受ける映画であった。

意外なキャストを意外な役どころで起用

主演のティナ・フェイは、主にコメディで活躍する、アメリカでは、かなりの有名女優だ。

Tina Fey

製作も兼任しているということで、彼女なりの女性の権利を訴えるかのような熱演を魅せている。
度々、女性蔑視問題が浮上する今だからこそ描く意味があり、そして、彼女のように影響力のある女優が演じるからこそ、意味を成してくるのだと思う。
現に「サタデー・ナイト・ライブ」や「30ROCK」で魅せた表情よりも説得力のあるものだった。

彼女と共に活躍する女性レポーターを演じるのは、マーゴット・ロビー

Margot Robbie

そこまで印象深い役柄ではないのだが、どこかお高く止まった雰囲気が、いかにも彼女らしい。
ティナ・フェイの前に劣って見えるものの、明らかにオーラは感じさせる。

そして、レポーター内で黒一点のマーティン・フリーマンは、なかなかの好演。

Martin Freeman

いつもの彼とは違い、チャラけた印象の強い役だが、意外とこのような役も守備範囲内。
バッチリ見劣りすることなく、役を演じきっている。

脇を固めるキャストとして登場するアルフレッド・モリーナビリー・ボブ・ソーントンは、シリアスな中に混在するコメディ的立ち位置で、どこか滑稽に映った。

後、本作において特に注目したいのが、''大きな''ブライアンというカメラマン役で登場する、ニコラス・ブラウン

Nicholas Braun

実は彼、「タイムマシン大作戦」や「恋のからさわぎ」などでおなじみの俳優。
言われてみないと気づかないほどに役になりきっているので、ぜひ注目してもらいたい。


コメディなのか、戦争映画なのか、どっちつかずの印象だが、今をときめくキャストの演技は、なかなか良かった。
しかしながら、正直そこまでパッとする映画でなかったことは確かだ。

評価:★★★★★☆☆☆☆☆

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