[最新映画批評]新鮮さを感じながらも、懐かしい気持ちにもさせる。「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

Rogue One:A Star Wars Story

今回は、「スター・ウォーズ」シリーズ初のスピンオフ作品である「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(Rogue One:A Star Wars Story)」の批評

遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・。
科学者であるゲイレン・アーソと家族の元に帝国軍の長官クレニックが訪ねてくる。
帝国軍はゲイレンを利用し、究極兵器''デス・スター''を完成させようとしているのだ。
妻ライラと娘のジンを逃がし、協力しようとするが、その最中、妻が殺されてしまう。
しかし、娘のジンのみ逃げることに成功し、数年後、彼女はある任務を任されることになる。
それは、父であるゲイレン・アーソの捜索だった・・・

映画史にその名を刻む、SF映画の金字塔「スター・ウォーズ」
その壮大なるサーガにおいて、初めてのスピンオフとなるのが、本作だ
監督を務めるのは、ハリウッド版「GODZILLA」で日本の映画ファンの間でもおなじみのギャレス・エドワーズ(Gareth Edwards)
彼は、「スター・ウォーズ」作品を敬愛しており、その中でも、「エピソード4」からなるオリジナル3部作のファンだという
そのことを念頭に置いて観ると、とてつもない''愛''を感じるのだ
本作の物語は「エピソード4」の10分前までを描くもので、「エピソード4/新たなる希望」のオープニングクレジットで『反乱軍スパイは帝国の究極兵器の秘密設計図を奪うことに成功する』という文が踊るのだが、ついにその空白の時間を描く物語が展開されるというわけだ

Rogue One

正直な感想を言えば、最初から中盤にかけては、オープニングロールがなく、ジェダイの騎士も登場しないことから、やはり取って付けたかのようなスピンオフなだけに、「スター・ウォーズ」ではないなという印象を持った
しかし、本作を観た方々が皆、口を揃えて、終盤から「エピソード4」への繋げ方が素晴らしいと言うように、クライマックスで度胆を抜かれる
元々、戦争映画のような様相を呈し、シリアス傾向の強い作品
なので、これまでの7作品で描かれたような痛快な冒険活劇と言えるような作品ではない
その部分が大きく作用し、歴史を踏襲しつつも、全く新しい「スター・ウォーズ」が出来上がったのだ
第一に「スター・ウォーズ」とは、銀河をまたにかけた戦争映画なのだ

Rogue One

その根本的なことを中心に描いているため、ラストのスカリフでの戦いは、''ノルマンディ上陸作戦''をも彷彿とさせる
デス・スターの設計図を盗み出したチームを描き、オリジナル3部作にはその面々が登場しないことを考えると、ハッピーエンドはないだろうと予想していた
しかし、ラストでは思いのほか心を持って行かれ、まるで本当の歴史を目撃したかのような気分にさせる
終始、''希望''という言葉が印象的であり、これから先の未来を予見させるところも秀逸
シスの暗黒卿ダース・ベイダー誕生までを描くプリクエル3部作、銀河に平和をもたらすことになるルーク・スカイウォーカーの戦いを描くオリジナル3部作、どちらも王道の英雄譚的物語なのだが、間に本作が加わることにより、この壮大な「スター・ウォーズ・サーガ」が一層重みのある物語になった

Rogue One

SF嫌いの映画ファンが観ても、涙を流してしまうかもしれない
最後に本スピンオフは、「スター・ウォーズ」を愛してやまない人たちに向けた讃美歌であり、ギャレスのオリジナル3部作への敬意が存分に込められた映画といえるだろう

本作のヒロインであり、主人公ジン・アーソを演じるのは、フェリシティ・ジョーンズ(Felicity Jones)

Felicity Jones

前作「フォースの覚醒」でもそうだが、新たに幕を開けたこの「スター・ウォーズ」のフランチャイズでは、男性キャラに頼らない女性主導の作品になっている
本作も例外ではなく、強く逞しいヒロインをフェリシティが体現してくれている
一人で生き抜いてきた強さと孤独さ両面をしっかりと表現しており、感情移入の対象として捉えやすい

そのジンと行動を共にすることになるキャラクターをディエゴ・ルナ(Diego Luna)が演じる

Diego Luna

正直なところ、他の強烈なメンバーに食われてしまった印象を受けるが、しっかりとした活躍で、特にラストは印象に残る

アジア人初の「スター・ウォーズ」主要キャスト抜擢となった、ドニー・イェン(DonnieYen)は、かなり印象深い

Donnie Yen

盲目であり、フォースを信じるも、決してジェダイの騎士ではないキャラクターだが、彼の存在が本作を面白くしているし、かなり魅力的
彼が加わってからの展開もさる事ながら、一言一言発する言葉に説得力があり、面白いのだ
また、これまでカンフー映画で実力を発揮してきた彼だけに、キレキレのアクションは見逃せない

そして、本作において、最大級の賛辞を贈りたいのは、クレニック長官を演じた、ベン・メンデルソーン(Ben Mendelsohn)

Ben Mendelsohn

今年度エミー賞においても、並みいる強敵を抑え、見事主演男優賞を受賞した俳優だ
正直、彼の演技は初めて観たのだが、その実力に圧倒されるばかり
力強い存在感と、どこか鬱蒼とし、時折感情を爆発させる姿には、「レオン」のゲイリー・オールドマンを彷彿とさせる
何かを企むその存在感に目を奪われてしまった
彼は海外ドラマ「ブラッドライン」に出演する俳優なのだが、近年、「スター・ウォーズ」は海外ドラマから大抜擢することが多く、その度に素晴らしいパフォーマンスを見せる
これこそ、まさにキャスティングの妙といえるのではないか

また、マッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen)の存在も忘れられない

Mads Mikkelsen

出番はそれほど多くないが、物語の鍵を握る重要な役柄で、素晴らしい演技を魅せているので、安心と言える

フォレスト・ウィテカー(Forest Whitaker)、リズ・アーメッド(Riz Ahmed)、チアン・ウェン(Wen Jiang)なども各々自分の役割をしっかりと果たしているし、オリジナル3部作に登場したキャラクターたちをオリジナルキャストが演じているところも見逃せなく、終始、鳥肌の連続だった

本作は「スター・ウォーズ」に魅了されていれば、魅了されているだけ、楽しめるものになっている

Rogue One

特にクライマックスでは、圧巻のシーンの連続で息をもつかせない
観終わった後には、猛烈に「エピソード4/新たなる希望」が観たくなることだろう

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