[映画批評]これは、立派な社会派サスペンス!!「ホワイト・ドッグ/魔犬」

White Dog

今回は、サミュエル・フラー(Samuel Fuller)監督作品「ホワイト・ドッグ/魔犬(White Dog)」の批評

女優の卵であるジュリーは、ある日、丘で一匹の犬をひいてしまう。
急いで病院へ運んだ彼女は、収容所に送られる犬を見過ごせずに、家に持ち帰り、飼い主探しを始める。
そんな中、家に強盗が押し入り、犬のおかげで助かるが、次第に凶暴な本性が露わになっていく。
そして、攻撃犬だと心配し、調教し直そうとするが、実は人種差別主義者によって黒人のみを襲うようにしつけられた、ホワイト・ドッグだった・・・

本作はホラーテイストに描かれ、凶暴な犬が主人公の映画ではあるが、れっきとした社会派作品として描かれているのが興味深い
本作が製作された1980年代初期のアメリカは不況が目立つ時代背景で、まだまだ冷戦の影響が色濃く残る時代
そんな時代も影響してか、若干暗さのあるテイストが際立つ作品
これは監督を務めたサミュエル・フラーが従軍経験のある人物であるという事も影響しているように思う
これまで戦争映画や裏社会を描く作品を多く手掛けてきた監督であるだけに、本作も人種差別というアメリカ社会が抱えていた最大の問題を提起した内容に仕上がっている
実際に差別主義者により黒人を襲うようにしつけられた犬が実在するという観点を上手く活かし、アメリカ社会の闇や暗い部分を浮き彫りにしている印象を大きく受ける様相
それを当時主流とされていたパニック・スリラー風に描きだし、そこに黒人自らが調教し直すというドラマ性を加え、映画としての出来栄えも上々だ
ただ、犬好きのみなさんには、とてもじゃないが、おススメはできない
本作では犬という動物が被害者として扱われているのだが、同時に悪役としても描かれており、気分を害すことは間違いない
ラストの描き方も衝撃で、決して良い気分とは言えないもの

また、主演に当時アメリカや日本で絶大なる人気を得ていたアイドル女優クリスティ・マクニコル(Kristy McNichol)を起用している点も功を奏していて、容姿や人物設定など典型的な白人女性とでも言うべき人物を通して見るリアリティがあった

Kristy McNichol

人種差別という問題を提起すればするだけ、残酷な描写というものは増えるもの
本作を手に取る際には、それなりの覚悟がいると言えるかもしれない

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