[最新映画批評]原作の教科書を良い意味でも悪い意味でも忠実に再現。「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

Fantastic Beasts and Where to Find Them


今回は、「ハリー・ポッター」シリーズ待望の最新作「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(Fantastic Beasts and Where to Find Them)」の批評

「ハリー・ポッター」の物語の70年前。
一人の魔法使いが、イギリスからアメリカにやって来た。
彼の名前は、ニュート・スキャマンダー。
魔法動物学者の彼は、ある目的を持ち、ニューヨークにやって来たが、彼の持つトランクの中から、何匹かの魔法生物が逃げ出してしまう。
一方、アメリカでは現在魔法使いを排除しようとする動きが活性化しつつあり、魔法使いは陰に隠れながらの生活を強いられていた・・・

本作はハリー・ポッターがボグワーツに入学する70年前の話であり、ボグワーツの指定教科書を原作とする作品
その教科書が原作というのが色濃く現れた作風になっており、オリジナルの「ハリー・ポッター」シリーズで描かれていた冒険物語というよりも、魔法生物の生態や保護方法を教える図鑑のような役割を果たしている部分が多いように感じた

Fantastic Beasts and Where to Find Them

そのことが大きく起因して、少し退屈に感じてしまうところも多々あり、「ハリー・ポッター」と一緒に育ってきたといっても過言ではないので、あまり批判をするつもりはないが、冷静に考えると、やはりオリジナルほどの興奮と感動は与えられていないように思う
しかし、今後5部作として展開予定のシリーズなだけに最初の一作目として、登場人物たちの紹介や物語の方向性を提起するものと考えれば、及第点といったところだろう
また、物語の舞台がこれまでのイギリスからアメリカに変わっているというのも色濃く現れており、文化の違いや言い方の違いが多く登場する

Fantastic Beasts and Where to Find Them

しかも、1920年代のアメリカと言えば、禁酒法などの法律が厳しく、まだまだ人種差別の蔓延る時代
その時代背景を魔法界と人間界として重ね合わせているのは非常に秀逸だし、あたかも事実のように受け止められるのは、さすが原作者J・K・ローリングが脚本を執筆しただけのことはある
魔法生物たちのVFXもさることながら、魔法の迫力などは前シリーズよりも着実に進化しており、今回満足できなかった分、次回作からの壮大なストーリー展開に期待したい

主人公ニュート・スキャマンダーを演じるのは、エディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)

Eddie Redmayne

彼の存在こそがこの映画の要であり、世界観を醸し出す雰囲気を倍増させている
その独特な口調であったり、歩き方に至るまで、これまでのエディ・レッドメインのイメージを覆すパフォーマンスを魅せており、一気に惹きつけられる

キャストは、皆、良い仕事を魅せており、とりわけ、ノーマジであるジェイコブを演じたダン・フォグラー(Dan Fogler)も素晴らしかった

Dan Fogler

コメディ映画で才能を発揮してきた俳優だが、非魔法族であるという特性を存分に活かした表情を魅せており、かなり小気味良い。
彼の存在がハラハラドキドキさせるし、動向が気になって仕方がない

また、物語の重要な鍵を握ることになる、ゴールドスタイン姉妹を演じるキャサリン・ウォーターストン(Katherine Waterston)とアリソン・スドル(Alison Sudol)の魅力というものも光っていた

Katherine Waterston Alison Sudol

彼女たちがいることで、暗闇の差す物語が一際明るくなっていたように感じる

一方、その暗闇という雰囲気を助長する演技を魅せるのが、コリン・ファレル(Colin Farrel)だ

Colin Farrel

魔法界にマッチするかと心配していたのだが、杖の振り方や存在感が、まさに闇祓いという感じで、完璧に魔法界と同化してみせた
終始謎めいた演技を魅せ、彼の存在がストーリー展開において、大変重要な域を占めていた

そして忘れてはならないのが、エズラ・ミラー(Ezra Miller)の存在

Ezra Miller

彼もまた薄暗い端っこの方で活躍してみせるのだが、その演技には感無量
彼の持つ棘のある魅力が存分に発揮された役柄であり、その表情には不気味さすら漂わせる
言ってみれば、そこらへんの普通の若手俳優とは違う魅力や可能性があり、エズラ・ミラーという俳優自体を表したかのような役どころなのだ
これは一瞬たりとも、目が離せない

キャストもこれまでとは違い、アメリカ人をメインにしているところに新鮮さを感じ、今後もどのような配役が用いられるのか、非常に楽しみだ

全体的な評価としては原作である「幻の動物とその生息地」という教科者を良い意味でも悪い意味でも忠実に再現している映画
「ハリー・ポッター」として観るには少々物足りない印象を受けるが、オリジナルとはしっかりと切り離して観れば、楽しめることは間違いないだろう

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