[新作映画批評]ヒーローになりたかったライアン・レイノルズ、幻の出演作。「ペーパーマン」

Paper Man

今回は、ライアン・レイノルズ、幻の''ヒーロー''作品「ペーパーマン(Paper Man)」の批評

売れない作家のリチャードは、執筆に勤しむ為に妻と離れ、片田舎にやって来る。
いくら集中しようとしても物語が浮かんでこない彼は、ふと町に出ていくと、ちょっと変わった女の子アビーと出会う。
子供がいないにもかかわらずベビーシッターとして彼女を雇った彼は、アビーを家に招き入れる。
ここから、リチャードとアビーの奇妙な友情が幕を開けるのだった・・・

予告編で気になり、鑑賞してみたのだが、決して最新の映画というわけではなく、「デッドプール」の大ヒットに便乗した形で、2009年の埋もれていたコメディ・ドラマを今さらながら日本に上陸させたという作品
本作は売れない作家が心のよりどころを求めて、ティーンエイジャーの女の子と友情を育んでいく話なのだが、決して悪い印象はなく、心温まる構成で描かれている

Paper Man

しかし、最初の方はというもの、何もかもがハッキリせず、話について行けない風潮が強く、全くもってまとまりのない映画という印象を受けた
ただ空想の友達と話し続ける中年オヤジが若い女の子を誑かしている作品なのかと思うような感じで、どうしても感情移入できなかった

Ryan Reynolds

それでも後半にすべての事実が明らかになり、結局は、子供が欲しい中年男性と心のよりどころを求める年頃の女の子との疑似親子関係のような物が色濃く描かれた作品だった

Paper Man

要するに心に孤独感や葛藤を感じている彼らが不器用にもお互いの人生に大きな影響を及ぼし、最後には完璧なカタルシスも描かれており、彼らの人生に一区切りをつける内容になっている
コメディという点においては、少々物足りなく、そこまで笑いがこみ上げてくるような作品ではないが、寒空の元繰り広げられる心温まる展開には、温かさを感じるものであった
でも、前半のダラダラ具合がネックになり、全体的な評価としては、及第点ぐらいといったところ

主人公の作家リチャード役には、コメディ演技に定評のある、ジェフ・ダニエルズ(Jeff Daniels)

Jeff Daniels

「ジム・キャリーはMr.ダマー」シリーズでもご存じの通り、彼は、子供のような大人を演じさせたら、天下一品の演技を魅せる俳優で、本作でもその魅力を発揮していると思う
決して抜けたような役柄ではないのだが、想像の相棒と話している姿や子供用自転車に乗る姿など、どこか童心を忘れていない大人のような印象を受ける
心の葛藤を表現した表情も見ごたえのあるものだった

そんな彼の''相棒''キャプテン・エクセレントを演じるのは、ライアン・レイノルズ(Ryan Reynolds)

Ryan Reynolds

2009年当時の彼はまだ、そこまでブレイクしていた俳優ではなく、「グリーン・ランタン」や「デッドプール」をやる前
「ブレイド3」や「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」に出演していたものの、主役級のスーパーヒーローを演じたかった彼が、自分がどれほどヒーローに相応しいかをアピールしているかのようだった
筋骨隆々の体をピチピチのスーパーマン風スーツで身を包み、表情から台詞回し、果ては動きまでもが、彼のヒーローとして素質を物語っている
そういった部分がこの映画では滑稽な印象を与え続けており、終始、コメディ要素を強めてくれていた

リチャードと心を通わせるアビー役には、エマ・ストーン(Emma Stone)

Emma Stone

彼女もまだまだ知名度の低かった頃で、初々しい表情を大いに魅せてくれる
とにかく、この映画に関しては彼女の存在が救いであり、一度心を掴まれたら、離れられないほどの魅力がある
表情の一つ一つにも確かなものがあり、どこか尖ったところや心の葛藤を表現した演技が見事であった

彼女と同じシーンに登場してくる、キーラン・カルキン(Kieran Culkin)との相性も良く、史上最低映画の「ムービー43」の時も感じたのだが、この2人の織り成す雰囲気というのにはどこか異質な空気が漂っており、面白い化学反応を起こしているのだ

Kieran Culkin

彼の暗さというものも、この作品を現しているかのようだった

そして、忘れてはならないのがリチャードの妻を演じる、リサ・クドロー(Lisa Kudrow)

Lisa Kudrow

「フレンズ」のフィービー役で知られる彼女だが、まず年取ったという印象が強い
観ない間に随分と年を重ね、長年の経験が表情にも現れた演技を魅せていた
ただ、最初の登場シーンではフィービー同様掴み所のない役柄なのかと期待させたが、登場を重ねるごとに普通の妻になっていったのが、少々残念だ・・・
もっと彼女の特性を活かしてほしかった

「デッドプール」のヒットにより、日本でも急増中のライアン・レイノルズ ファン必見の映画
彼の二枚目でありながらも、どこか三枚目的な魅力が存分に活かされた作品
そして、終始、エマ・ストーンの魅力に取りつかれ、一気に彼女のファンになってしまう、そんな映画だった

ペーパーマン PaperMan [DVD]



スポンサードリンク

コメント

非公開コメント