[特集映画批評]今からでもまだ間に合う!!「ボーン」特集その①「ボーン・アイデンティティー」

The Bourne Identity

今回から最新作「ジェイソン・ボーン」の公開に合わせて、「ボーン」シリーズをおさらい

ということで今回は、「ボーン・アイデンティティー(The Bourne Identity)」の批評

ダグ・リーマン(Doug Liman)監督作品
何者かにより銃で撃たれ負傷した一人の男が、マルセイユ沖で打ち上げられる。
その後目覚めた彼は自分の名前もわからず、何者であるかもわからない記憶喪失に陥っており、唯一の手がかりは皮膚の下に埋め込まれていたマイクロカプセルのみ。
そこにはスイスのチューリッヒ銀行の文字が記されており、男は自らの正体を求めて、スイスを目指す・・・

まずこの作品で評価したいところというのは、やはり現代におけるスパイ映画の歴史を変えたという点
それまでアクション重視のドンチャン騒ぎなスパイ映画が多かったこのカテゴリーだが、本作が登場し、大ヒットを記録したことで、それまでよりもリアリティに富んだドラマ性重視のスパイ映画が数多く製作されるようになった
「007」シリーズの「カジノ・ロワイヤル」以降は本作を手本としているし、その他のスパイと名のつく作品はほとんどがこの映画に倣っている物が多い
そこまでの影響をもたらしたシリーズとして、名高いのが本作なのだ

The Bourne Identity

もちろんこの時期はスパイや工作員についての見方が世界的にシリアスになっていたという時代背景も要因していることだろう
それは本作が公開される約1年前に起きた''9.11''に起因するもので、他国のスパイ活動などの脅威が、最も危険視されていた時代だ
そのようなナーバスな時代背景にも影響を受けてのシリアス路線だったと思うのだが、素性の分からないスパイという主人公や政府の織り成す謎の計画''トレッドストーン''など、現代社会の闇を炙り出すかのごとく展開されるストーリーが功を奏し、逆に観客に受け入れられたと思う
もちろんドラマ性が主張した内容になってはいるのだが、アクションもかなりリアリティに富んでおり、本物のスパイが繰り出す格闘技術のような殺陣が繰り広げられる

The Bourne Identity

しかし、2002年当時よりも敵国からの工作活動やテロという物が身近になってしまった分、今ではよりリアリティの追及されるスパイ映画が数多く製作されてきているため、少しまだまだアクションが多いような印象を今観ると受けてしまうのは否めない
ただCIAの冷血なスパイが自らのアイデンティティを求め、葛藤する姿は、映画界に深い功績を残したと言えるだろう

主人公''ボーン''に扮するのは、マット・デイモン(Matt Damon)

Matt Damon

それまで若手俳優として多くの作品に出演し、脚本家としては「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞を受賞するなど、才能を発揮してきた俳優だったが、世界的に大きくブレイクした作品と言えば、間違いなくこの「ボーン」シリーズだ
それだけのことがあり、マット・デイモンという俳優が説得力のある演技でこの''ボーン''という役を演じたからこそ、ここまでリアリティに富んだ作品に仕上がったと言えるだろう
記憶を失った男として、自らの過去の秘密、そして良い人間であろうと葛藤する姿など・・・内面から''ボーン''になりきっているし、アクションに関しても、カッコいい他言うことがない
さすがは現代の若手俳優たちが最も憧れるキャラクターと言われるだけのことはあるほどに、魅力的な人物像を掘り下げた
なぜここでジェイソン・ボーンと書かずに''ボーン''と書いているかというと、この1作目の時点ではまだ彼の素性や輪郭はハッキリしておらず、まだまだ自らのアイデンティティを探している状態
現にエンドロールのクレジットでも、Bourneと表記されているなどの憎い演出もなされている

政府の要人らしい存在感を放ったクリス・クーパー(Chris Cooper)もまた素晴らしい演技を魅せている

Chris Cooper

彼は幾つもの作品で要人やら政府関係の役を演じてきているが、その中でも特にハマっている役柄が、このコンクリンという役と言っても過言ではないかもしれない
それほどまでに''ボーン''に次ぐ存在感だったのが彼だ

一方でここから大きく飛躍したと言える俳優もあり、その代表がクライヴ・オーウェン(Clive Owen)

Clive Owen

台詞というのは最後の死ぬ間際までないのだが、無口で冷血な''教授''役として、無類の存在感を放った
彼の演技はこの後ハリウッドでも重宝されるようになったのだが、間違いなくこの表情だけで無慈悲さを表現したことが要因と言える

他にも海外ドラマファンには見逃せない俳優も多数登場しており、「LOST」のアドウェル・アキノエ・アグバエ(Adwale Akinnuoye-Agbaje)や「JUSTIFIED 俺の正義」のウォルトン・ゴギンズ(Walton Goggins)などが出演

現代のスパイ映画の歴史を変えた作品として名高い傑作アクション
最新作が公開される今だからこそ、一度拝見してもらいたい作品だ

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