[最新映画批評]全米が注目した公聴会の決着はいかに!?「アニタ ~世紀のセクハラ事件~」

Confirmation

今回は、今年度エミー賞リミテッドシリーズ/テレビムービー部門作品賞にノミネートされた「アニタ ~世紀のセクハラ事件~(Confirmation)」の批評

1991年、オクラホマ大学の教授であるアニタ・ヒルは、連邦最高裁判事に黒人としては2人目となるクラレンス・トーマスが指名されたことから、彼の調査をしていた民主党議員から接触を受ける。
彼女は過去に彼からセクハラを受けた経緯を話すが、それが公になってしまう。
こうして、クラレンス・トーマスには疑惑の目が向き、全米が注目する''世紀のセクハラ事件''の幕が切って落とされた・・・

このHBOというTV局は、過去には「セックス・アンド・ザ・シティ」や「ザ・ソプラノズ」、現在は「ゲーム・オブ・スローンズ」といったTVドラマで世界を席巻している印象が強いが、実は多くのTV映画も製作しており、その度に鋭く社会に切り込んだ上質な作品を提供してきている
そんな彼らが今回注目したのが、1991年に起きた''世紀のセクハラ事件''
最初から結末を言ってしまうのは忍びないのだが、この世紀の公聴会は決着せずに幕を閉じることになる
これは最終的に双方が証言をしなかったことで、このような展開が起きたのだが、この''決着していない''という事が色濃く反映された作品に仕上がっている
どちらかが悪いという結論が出ていないために、どちらかを悪く描いてしまうと人権問題にも発展しかねない内容であり、そのような事から双方の証言に説得力を持たせ、彼らの過ごす公聴会の期間での私生活においてもどちらにも感情移入を誘うような描き方を魅せている
その悪意の矛先をクラレンス・トーマスを擁護する政府に向けているのは、大変意欲的であり、彼らの行動一つ一つが、この映画においていわゆる''悪役''と言えるのだ
この映画において終始一貫して描かれていることといえば、人種や性別に対する差別であり、特に抑圧された女性の権利を訴えている印象が大きい
現在でも職場においてのセクシャル・ハラスメントが絶えない日常が続いているが、当時としては今よりも女性が声を上げて、何かを訴えるという事が比較的自重傾向にあった
その中で一人の黒人女性が声を上げ、全米の女性たちに勇気を与え、この女性蔑視傾向にあった社会全体を大きく変えたのだ
その過程を実際の映像を織り交ぜながら見事に描き切っているし、男性社会だった当時の政府機関においての実情も色濃く映し出しており、まさに映画全体を通して女性の権利の向上を訴えた作品だ
時は流れ、時代は変わり、そのような社会も変化の一途をたどり、女性初の大統領が誕生しようとしている、今だからこそ意義のある映画なのだ

キャストは実在の人物にしっかりとなりきっており、アニタ役は、ケリー・ワシントン(Kelly Washington)

Kelly Washington

実在の人物を演じるのには大変な努力を要すると思うが、彼女はアニタという人物そのものになっており、実際の映像と同じような表情や話し方を魅せている
これは相当研究に研究を重ねた結果と言えるし、内面までしっかりと掘り下げた賜物と言えるだろう。
アニタという人物の感情を見事に表現した演技だった

疑惑の人物クラレンス・トーマスを演じるのは、ウェンデル・ピアース(Wendell Pierce)

Wendell Pierce

海外ドラマ「SUITS/スーツ」にてレイチェルの父を演じていた印象も強い彼だけに、またもや法律関係の役柄だ
しかし、「SUITS」の時とは一線を画す演技を魅せており、説得力のある証言をして見せた
彼自身がセクハラ疑惑を抱かれているのかと思ってしまうほどに、言葉一つに説得力があり、圧倒的なパフォーマンスを披露していた

そして、もう一人取り上げたいのが、グレッグ・キニア(Greg Kinnear)

Greg Kinnear

最近では温厚で良いイメージの強い役柄を演じることが多い彼だが、今回はどっちつかずの微妙な役どころ
随所に感情を爆発させている部分もあったり、頭髪が少し薄い姿も見せていたりと、割と新鮮に映ることが多かった
時には嫌らしく、時には正義感にと、いろんな表情を魅せていたのが、このグレッグであった
他にもジェフリー・ライト(Jeffrey Wright)やジェニファー・ハドソン(Jennifer Hudson)、エリック・ストーンストリート(Eric Stonestreet)、ビル・アーウィン(Bill Irwin)、ディラン・ベイカー(Dyran Baker)、トム・ヴァーチュー(Tom Virtue)などが印象深い演技を魅せていた

この''世紀のセクハラ事件''の一部始終を見事に描いていると思うし、社会全体で重要視されている''ダイバーシティ''化を体現したような作品であり、重要性を明確にした映画
実際の映像と織り交ぜながらで説得力もあり、アメリカ社会においては、とても重要な歴史の一部と言えるのではないか
そのぐらいに説得力があり、パワーの伝わってくる映画であった

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