[最新映画批評]DCコミックが誇る悪役集団の大活劇!!「スーサイド・スクワッド」

Suicide Squad

今回は、デヴィッド・エアー(David Ayer)監督作品「スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)」の批評

スーパーマン亡き今、人類に迫りくる脅威に対抗する手段を必要としている中、諜報機関ARGUSの高官アマンダ・ウォラーは、政府の管理下にある凶悪な犯罪者たちを寄せ集めた''タスク・フォースX''の招集を提案する。
世界的な暗殺者デッドショット、ピエロの恋人ハーレイ・クインなどを中心に彼らは首に爆弾を埋め込まれ、使い捨ての''決死部隊''として、世界の平和を託されることになった・・・

まずは2013年から始まったDCエクステンデッド・ユニバース(以下DCEU)について話を進めていきたい
「300」のザック・スナイダーが監督を務めた前2作、「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン:ジャスティスの誕生」はスーパーマン誕生からバットマンとの共闘、そして、バットマンやスーパーマンなどが一堂に会すジャスティス・リーグの誕生の起源を描く作品として世に送り出され、今後の始まり的な様相が強く見受けられた

Justice League

中でもスーパーマンの描き方に関しては聖書の中のキリストのような神として崇められる存在として描かれていた
そして前作でスーパーマンが息絶え、今後の対抗策を思案しているところから幕を開けるのが、本作

本国での予告編公開時から、多大なる期待を持って、待ち望んでいたのだが、正直なところを言えば、期待外れだったという他ない
率直な感想を言えば、まだこの「スーサイド・スクワッド」というチームを起動させるには、少々早かったのではないかと思わずにはいられない

Suicide Squad

前作「バットマンVSスーパーマン」でのバットマンの描き方と同様にキャラクター各々の輪郭がハッキリしておらず、感情移入することが全くもってできない
冒頭でメンバー紹介のように軽く背景は語られるのだが、それだけで感情移入させようとするのはあまりにも難しく、また『フラッシュに捕まった』だの『ロビン殺しの共犯』だの言われても、実際問題、DC作品を知らない人や最近の実写作品しか観ていない観客にとっては、何を言っているのかわからずじまいであり、そういった配慮が足りないというのも、映画として考え物だ
同じくチームとしてシリーズを築き上げてきたMARVEL作品の方では、まずメンバー誕生を描き、その後、チームを結成させてきた
MARVELが展開させてきたように、彼ら悪役たちをまずは「バットマン」や「フラッシュ」といった単体の作品で活躍させてから、作った方が良かったように思う
そのような手順を踏んでから、今回の「スーサイド・スクワッド」という作品を作っていれば、また違った感じ方ができたのかもしれない
ただ、「フューリー」などの戦争映画で手腕を発揮してきたデヴィッド・エアーの映し方というのには拍手を送りたい
''タスク・フォースX''を一つの軍隊としてまとめ上げ、彼らが地上戦を繰り広げる様は、まさに戦争映画という映り方を魅せ、「ブラックホーク・ダウン」のような印象を受けた
このリアリティ溢れるカメラワークと演出法が功を奏し、ゲリラ戦の様相を呈してくる
後は、MARVEL原作で大ヒットした「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のように往年の名曲や懐メロを色濃く取り込んだ音楽構成も印象的で、ポップでエンターテイメント性も高いところも好材料だ
そういった良作になりうる部分が幾つも見え隠れしていただけに、余計に残念でならない
前作から見受けられる短いシーンの繋ぎ合せのような寄せ集め感を無くさないと、今後続いていく、DCEUの未来は負の一途をたどっていきそうだ・・・

この悪役集団において、一際目を惹くのは、やはりそのキャスト
今回、優秀なパフォーマンスを魅せたのが、二人ほどいて、まずは、ハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビー(Margot Robbie)

Margot Robbie

今まで魔性の魅力を発揮してきている女優だが、今回はいつにも増して常軌を逸した演技を披露
彼女の存在がこの「スーサイド・スクワッド」という映画が持つ狂い様を現しているかのよう
役になりきり、狂った演技を魅力的に魅せたマーゴットの演技が一際目を惹き、やはり一番印象的

そして、もう一人、好印象を受けたのが、アマンダ・ウォラー役のヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)

Viola Davis

「ARROW/アロー」に登場した''スーサイド・スクワッド''肯定派をも唸らせるほどの圧倒的存在感
特に序盤のステーキを食べているシーンが印象的であり、冷徹で圧迫感があり、闇の世界に生きるかのような目つき・・・これほどまでに恐怖を煽る脇役も珍しく、彼女こそが今回の悪役といえよう
他のメンバーはというと・・・

ほとんど主役のような存在なのが、デッドショット役のウィル・スミス(Will Smith)

Will Smith

正直、デッドショットというには少し軽く、百発百中の殺し屋というには、良い人過ぎるような印象が強いが、それでもフロイド・ロートンの持つ人間らしさというところでは上手く体現してくれていたと思う

また、重要な存在といえば、ジョエル・キナマン(Joel Kinnaman)

Joel Kinnaman

チームを率いるエリート軍人で、当初はトム・ハーディが演じ、主役級になるはずだったが、デッドショットを主要メンバーに据えたことで、少しか弱い役柄になってしまった感じだ
確固たる存在の序盤に比べ、終盤では完全に守られる立場に・・・笑
とはいえ、演じるジョエルの存在感は存分に発揮されており、百戦錬磨の軍人らしさを感じさせてくれた

そんな彼よりも目立っていたのが、その部下を演じる、スコット・イーストウッド(Scott Eastwood)

Scott Eastwood

そこまで大きな役ではないのだが、かなり目立つ存在
周りの役者たちとは正直オーラが違い、彼から目を離さずにはいられない
デヴィッド・エアー監督の「フューリー」においても脇で目立っていた彼だけに、やはり底知れぬスター性を感じた

そして、日本人ならやはり気になるのは、カタナ役の福原かれん(Karen Fukuhara)

Karen Fukuhara

ほとんどが日本語での台詞だけに日本人には馴染み深い存在
哀しみを背負い、クールな出で立ちで、女優デビュー作としては上々
しかし、まだまだ経験の浅い女優であるため、そこまで高い技術という物は発揮できていない印象だが、刀での殺陣など、随所に光るものを魅せていた

最後にジャレッド・レト(Jared Leto)演じる、ジョーカーについて・・・

Jared Leto

これまでジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーという名優たちが主役をも食う圧巻の演技を披露してきた中、大きな期待を抱かせていた、レト
登場シーンが少ないという情報も多かったが、最初から最後まで少しずつ登場するという感じなので、そこまで物足りなさは感じない
しかし、どうにもジョーカーというイメージとは違う印象を受けてしまった
ジョーカーにしては狂気が足りず、元々かなり美しい顔の持ち主なので、綺麗すぎるのが問題なのかもしれない
まさに''狂気のプリンス''という代名詞にピッタリの容貌であり、彼とハーレイの織り成すラブストーリーというのが、本作において最大の見どころといえよう

キャプテン・ブーメランやディアブロなど、良いキャラをした連中も多く登場するのだが、どうしてもイマイチ乗りきれないでいた2時間だった
強いて言うなら、ベン・アフレック(Ben Affleck)演じるバットマンやエズラ・ミラー(Ezra Miller)演じるフラッシュが登場したところが一番面白かった

このDCEUというのは、元々DCコミックのファンであることを前提にした映画なのかもしれない
ある程度の知識がないとついて行くのが大変であり、はたまた映画だけを観ているだけでも、足りないほど・・・
最近のアメコミ作品にしては評価も低く、そういった点を解消していくことが、今後の課題なのかもしれない

本作に登場する''スーサイド・スクワッド''のメンバーを紹介した記事を書いてますので、合わせてお楽しみください

https://kaigai-drama-board.com/posts/1539

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