[新作映画批評]事務のおばさんは、スゴ腕エージェント!!「SPY」

SPY

今回は、ポール・フェイグ(Paul Feig)監督作品「SPY」の批評

CIAの諜報員ブラッドリー・ファインのアシスタントを務めるスーザンは、密かにファインに思いを寄せていた。しかし、そのファインが任務中に殉職してしまったことから、スーザンはエージェントとしてパリに向かい、調査をすることに・・・

ここ最近のハリウッドにおけるスパイ映画事情というのは、「007」にしても「ボーン」シリーズにしても、リアル指向の作品が大いに目立つ
そんな中、久しぶりに現れた娯楽系スパイ映画と言えるのがこの作品
往年のガジェットを用いて任務を遂行する「007」映画をパロディ化したようなシーンの数々にコントのような笑いの取り方など、レスリー・ニールセン主演の「裸の銃(ガン)を持つ男」を彷彿とさせるような映画だ
ロケーションに関しても「007」や「ボーン」シリーズといった映画たちを思わせるようなものであり、かなりこだわっている様に見てとれる
このようなパロディ映画のような印象を強く受けると、どうしてもカッコ悪い映画のように思われてしまうかもしれないが、決してそのような事はなく、むしろカッコイイと唸りを上げしまうようなシーンが満載なのだ

SPY

監督のポール・フェイグについて、話を転じると・・・
彼はここ数年ハリウッドにおける女優たち(特にコメディエンヌ)の存在価値を高めてきた監督として知られている
代表するところでは、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」やこの8月に公開された「ゴーストバスターズ」といったところで、コメディといえばジム・キャリーやアダム・サンドラー、ウィル・フェレルといった男性コメディアンたちの活躍が目についていたハリウッドにおいて、女性コメディアンたちの存在を明確にした監督と言える

SPY

「ゴーストバスターズ」にしろ、この「SPY」にしろ、比較的男性キャスト主体で描かれることの多いジャンルのコメディに対して、このように女性主体で進めることが、彼の革新的演出法と言えるだろう
そして、そのようなキャスティングを施すと毎度のことながら性差別な連中が姿を現すようになるのだが、そのような意見を待った連中を相手にせず、このようにコメディエンヌたちを主役に置くその手腕は見事の他言いようがない

そして、このポール・フェイグ監督作品に毎度欠かせない女優というのが、メリッサ・マッカーシー(Melissa McCarthy)

Melissa McCarthy

「ギルモア・ガールズ」や「サマンサ WHO?」といったドラマに出ている時からファンなのだが、ここ数年における目覚しい活躍の背景には、やはりフェイグの力が大きく影響している
「ブライズメイズ」でオスカーノミネートの実績を彼女にもたらし、彼女のコメディセンスというものを完全に理解した監督として、毎回タッグを組むたびに素晴らしいパフォーマンスを発揮させている
本作も例外でなくメリッサ・マッカーシーという女優が持つ本領を見事に発揮させ、彼女の魅力がこの映画を支えていると言っても過言ではない
そのぐらいにお腹がよじれるほどに面白く、メリッサの言動一つ一つが絶妙なのだ
またパロディ映画特有の間の取り方もピッタリハマっており、メリッサのコメディセンスと見事な調和を果たしている

一方で脇を固めるキャストの配役も素晴らしく、紳士で華麗な諜報員ブラッドリー・ファイン役にはジュード・ロウ(Jude Law)

Jude Law

最近、異様におでこが後退した印象の元祖イケメン英国男子だが、今回はなぜかフサフサに
それを予期してなのかどうかは不明だが、わざとらしく、髪の毛をかき上げる仕草が印象的だ
髪の毛の話はともかく、今まで幾度となくジュードに対しては007/ジェームズ・ボンド待望論が持ち上がっていたのだが、今回ようやくそのチャンスが回ってきた
ボンドを彷彿とさせるような紳士で華麗な役どころで、ファンとしてはしっかりと目に焼き付けておきたい
しかし、やはりこれほどまでに待望論が浮かびながらも候補に挙がらない理由が少しわかってしまうような印象も受け、今回はコメディだからハマったにせよ、本物のボンドになるには厳しいと思ってしまった

そして、男性陣で最も異彩を放ったのは、間違いなくジェイソン・ステイサム(Jason Statham)

Jason Statham

最強の男としてハリウッドに君臨する俳優だが、本作における彼の役割はちょっと違う
かなりのドジッ子であり、普段の逞しき男のイメージは皆無に等しいほど
そのギャップが最高で、ジェイソン・ステイサムという俳優のイメージを逆手に取ったキャスティングとして、大いに楽しませてくれた
この次期ジェームズ・ボンド候補に値する2人の英国俳優を起用したことにただならぬ意味を感じてしまう

その他にもローズ・バーン(Rose Byrne)、ミランダ・ハート(Miranda Hart)、アリソン・ジャネイ(Allison Janney)、ボビー・カナヴェイル(Bobby Cannavale)、モリーナ・バッカリン(Morena Baccarin)など、最近のコメディ映画でよく目にする俳優陣が多数顔を揃えている

Rose Byrne

特にローズ・バーンは、かなり本気のイギリスアクセントを披露しており、今までのイメージを覆す
存在自体も80年代のアクション映画に登場するようなヒステリー且つおバカな金持ち娘という感じで、この映画の雰囲気を物語っていた

話の内容としては普通程度だが、特出すべきは、やはりこれほどまでのスパイ・コメディを現代でしっかりと作り上げたというところ
空気的には70年代や80年代のような古き良き映画たちを彷彿とさせ、そこに「007」や「ボーン」といった現代のスパイ映画のパロディをスパイスのように加えていて、古臭いどころか斬新な映画に仕上がっている
これは、全ての映画ファンに観てもらいたいそんな映画だ
エンドロールでのその後のスーザンの活躍を観てしまうと、続編を期待せずにはいられない

SPY/スパイ 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]



スポンサードリンク

コメント

非公開コメント